concert

01/29/2006

ブラームスの傑作2曲 ~1月28日

ブラームス ヴァイオリン協奏曲
ブラームス 交響曲第1番
ヴァイオリン;クリスティアン・テツラフ
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団 (NHKホール)


 好きな作曲家はと聞かれればブラームス、というわけで今年のコンサート聴き初めはブラームスの傑作2曲のプログラム。
 ヴァイオリン協奏曲はなかなか面白かった。テツラフの弾き方だと思うが全体的に速めのテンポ。第1楽章のソロの入りはおとなしめだったが、途中から俄然走り出した。テンポを結構揺らすし音程が不安定なところもあった。正直ちょっと居心地の良くない感じ。第2楽章はたおやかというより、薄味であまり耳に残らない。というのはたぶん第3楽章があまりにも痛快な演奏だったからか。スピード感があって、羽目を外さないギリギリに遊んでハンガリー舞曲風のフィナーレを一気に弾き切った。
 この曲はオイストラフとセルによる豊穣かつ一点の曇りもない録音が最も好きでよく聴いているが、今日のこの演奏も地味な音色の中からパッションが吹きだすようで面白かった。

 ブロムシュテットを初めて聴いたのが何時だかははっきりは覚えていないが、それから20年以上経っていることは間違いない。その頃は東京から離れていたので、放送を通じてだったが、はっきり覚えているのはチャイコフスキーの4番。猛烈に第4楽章が速かった。あの演奏で聴いて以来、チャイコフスキーの4番はずっと大好きな交響曲の一曲だ。これは調べてみたら83年だった。初めてのライヴは85年のドレスデンの来日公演。あの独特のサウンドで鳴らされた「ドンファン」と「ロマンティック」。体が浮くような不思議な感覚だった。そのブロムシュテット氏は今年で79歳。自分も歳を取るわけだ。
 オケの配置はヴァイオリン両翼配置。ブロムシュテットの通常の型ということを忘れていた。中央の席で聴くべきだったと後悔。
 そんなにライヴで聴くわけではないけれど(それでも2~3年に一度は聴いているような気がする、この前は2004年のハイティンク・ドレスデン)、放送などで聴くとついついパワー全開、って感じで鳴らされ過ぎる演奏も間々ある第1番。今日は、オケを鳴らし過ぎていないのに(もちろんクライマックスは迫力!)、ブラームスを聴く満足を充分感じられる、聴き応えある演奏だった。
 テンポは一貫してゆっくりめ。第1楽章は、これもブロムシュテットのいつも通りに主題部を反復。曲の流れからは反復無しの方が好きだが、こうして実際に聴くと、朗々たる展開部の入りがお預け食って待ちわびたところに来る感じで効果的でもある。第2楽章のべとつかず清らかな美しさ。ペーター・ミリング氏のヴァイオリン・ソロもさすが(ドレスデンのコンマスだった人で、ブロムシュテットの名録音「英雄の生涯」ではソロをやっていたはず)。残念だったのはオーボエのソロ。全然歌えず寸詰まり気味。これは第4楽章でもそうだった。長年首席を務める北島氏だが、失礼ながら力不足にしか聴こえない(隣のフルート首席の神田氏が木製フルートらしい柔らかながら朗々とした音色を鳴らしているだけに余計に貧弱に感じてしまう)。
 そして悠然と決して追い立てることなく演奏された第4楽章。ホルンのテーマと、主部のテーマ、ここを聴く度になんとも言えず安らかな幸福を感じる。さっきも言ったようにパワー全開ではないが、丹念に弾かれていた音楽がいつの間にか内からグワっと盛り上がっていた。はっきり言って退屈な演奏も多いN響だが、今日はブロムシュテット氏の下、力も入ってなかなかいい演奏だったと思う。
 今回の来日での残り2つのプログラムは所用で聴くことができないのが残念。80歳近い高齢とは思えぬ指揮ぶりのブロムシュテット氏だが、また遠からずにドイツものや十八番のニルセンの名演を聴かせていただきたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

10/07/2005

「自然な音楽」でなくて「自然の音楽」 ~10月7日

チェコ国立プルゼニ歌劇場(ボヘミア・オペラ)
ヤナーチェク「利口な女狐の物語」
(東京国際フォーラム)

演出のことはわからないが、終幕に動物たち全員を森番と一緒に登場させたのは強引な気がした。
オーケストラは素朴な響きというより、かなり怪しかった。
タイトルロールではないが、実の主役であり見るものの心を写す鏡役でもある森番役はイマイチだった。
会場はオペラを見るには雰囲気も響きも良くなかった。

しかし、そんな欠点を些細なものにしているのが、ヤナーチェクの音楽だった。美しく、繊細で、厳粛な音楽。

この曲のことを勉強すると、ヤナーチェクの自意識過剰だとか、詰め込みすぎ気味のメッセージ(生命のサイクルや性だとか、すべての抑圧からの自由だとか)が感じられてしまう。でも、素晴らしいエピローグのうたを聴いて残るのは、安らぎと感動のみだった。

吉田秀和氏は、この曲についてこう書いている。
「この清らかさを純粋と呼ぶなら、このオペラは、純粋な音楽で始まり、そうしてそれで終わっているのである。このすばらしいオペラでは、筋をこまかく追いながらきく必要なんか、ほとんどないのだ。音楽をきいてさえいれば、「自然」をよりこまかく呼吸することを、夏の夜を、春の陽射しを、秋の夕ぐれを、より充分に生きることに自ずと導かれることになる。」(「私の好きな曲」)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

06/03/2005

釈然としない演出 ~6月2日

ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」
マルコ・アルトゥーロ・マレッリ演出
ミヒャエル・ボーダー指揮東京フィルハーモニー交響楽団(新国立劇場)

雨で蒸し暑い中新宿へ。湘南新宿ラインの混雑振りにびっくり。家が横浜、会社も横浜の自分には、これが毎日では耐えられない。貧乏人4階席へ。

・台詞はだいぶカットしていたよう。レオノーレ第3番挿入なしのシンプル型。
・オケ(東フィル)はまあまあかな。序曲はかなりぬるかったが(とくに気の抜けたようなホルン)、レオノーレ登場以降はあまり気にならなくなった。
・フォンタナのレオノーレ、出だしはイマイチな気がしたが、しり上がり。聴かせどころの第1幕終盤のアリアは素晴らしかった!。第2幕の熱演にも感激。
・モーザーのフロレスタンは清涼なイメージでぴったり。エグリティスはいかにも「リング」のヴォータンがはまり役という感じの重厚さで、いい声なんだけど、こずるいドン・ピサーロには貫禄ありすぎか。チャマーのロッコは実直さを見事に表現していて良かった。
・日本人歌手は残念ながら貫禄負けか。河野克典のドン・フェルナンドははっきりパワー不足。中では水嶋育のマルツェリーネが健気さをよく表現していて健闘。
・演出は?。第1幕、囚人たちが日光を浴びて喜ぶところで、太極拳風のゆっくりした集団の動き。これは、まだ抑圧された中での真の喜びではないということを表現したものだと受け取った。しかし、第2幕、フロレスタンの解放の喜びの場面に出てきた、ウェディングドレスとタキシードの集団は何ぞや。夫婦愛はいかなる困難にも勝る、っていいたいのか?。ベートーヴェンは、それ以上のメッセージをこめていると思うのだが。ワケワカラン。音楽の良さが台無し。
・それでもベートーヴェンの音楽は素晴らしい。力漲る。
 
 
 
 
 
あー、昨日(マリノス-ユーヴェ戦)のこと書いてないけど、もういいでしょ。いいレポがそこらじゅうにあるし。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

05/31/2005

「天国的な長さ」にちょっとウトウトしていたのは秘密 ~5月26日

アルバン・ベルク四重奏団&ハインリッヒ・シフ(紀尾井ホール)

シューベルト 弦楽四重奏曲第10番変ホ長調
ハウベンシュトック=ラマティ 弦楽四重奏曲第2番
シューベルト 弦楽五重奏曲ハ長調

紀尾井ホールで聴くときはたいてい貧乏席(2階)。この日は久しぶりに1階だったでの、なんだか勝手が違う感じ。
ヴィオラのトマス・カクシュカ氏が病気療養中ということで、イザベラ・カリシウス(カクシュカ氏の弟子らしい)という人が代役。
シューベルトの四重奏曲の始まりでおやっという感じ。ギュンター・ピヒラー氏のヴァイオリンが不安定なのだ。腕に衰えなのか?、ちょっと寂しい気がした。カリシウス女史のヴィオラは、こちらの先入観もあるが、やっぱりメンバーに「合わせて」弾いている印象があった。こなれないシューベルトの演奏だった。
ラマティの四重奏曲第2番は、もちろん生では初めて(ABQは以前にも日本でやっているようだが)。専門的な音楽教育からすっかり離れて、現代音楽について云々することは私には到底無理だが、トーンクラスターを使っているのに、響きは豊かで、ペンデレツキみたいな痛みがない。面白かった。しかし聴衆にやっちゃった人がいた。私の横のほうの大柄な男性が盛大にゴホゴホ。そうしたらその近くのオバハンが派手にコンサートチラシの束を落としやがった。あれは絶対寝ていたな。どんな楽しみ方しようと勝手だが、聴くのに邪魔になる行為は勘弁してくれ。興味がない曲でも最低限のマナーを。

後半はシフが加わってのシューベルトの傑作、弦楽五重奏曲。やっぱりピヒラー氏はやや不安定だったものの、シフが加わって音がとても豊かに。でも、正直な印象、全盛期は過ぎたのか演奏そのものに緩みがある感じで、CD(80年代の録音だったかな)の方が、曲のスケール感と、一分の隙もない演奏で圧倒される。それは置いといて、アンサンブルに加わるシフの楽しげなこと。メンバーとアイコンタクトしながら、でしゃばり過ぎず、でもやっぱり雄弁。本人も室内楽が大好きなのは間違いない。第一級の職人芸をこうした音楽で聴く楽しさを充分味わうことができた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

05/24/2005

マーラー好きにはご不満でしょうが ~5月23日

クリストフ・エッシェンバッハ指揮フィラデルフィア管弦楽団(サントリーホール)
マーラー 交響曲第9番

・ホールに入ると、オーケストラのメンバーが既にステージでワシワシと練習している。ステージに入ったら音合わせだけで、というほうが心静かにコンサートに入れていいのだが。
・聴衆の入りは6割くらい。高い席に空席が目立つし、今回の来日公演はマーラーばっかりというプログラムの組み方も影響したかも知れないが、逆に冷やかしの客は少ないだろう。
・聴く位置を選ぶヴァイオリン両翼配置。自分の席はステージ右なので、どうしてもチェロ・コントラバスが遠くに聴こえる。
・ゆっくり弾き始められた第1主題、までは良かったが、第1楽章は響きがバラバラ。とくにホルンに気合がない。音の入りがオケ全体ともホルン同士でもズレズレ。落ち着かないままに第1楽章が終わる。
・エッシェンバッハは緩徐楽章よりもテンポの速い音楽のほうが得意か。とくに、ロンド・ブルレスケはオーケストラの能力の高さも手伝って、迫力があった。ただ、木管は音色は良いのだが、音を外したり、ピッコロが消えちゃったり、ところどころどうしたのかな、という箇所があった。トランペットもアメリカンなんだよね。景気良すぎてブラスバンドみたい。ジャーマン式で鳴らして欲しいところ。
・終楽章は、早過ぎず遅過ぎずのテンポで緊張感を保っていた。
・終演後、足早にホールを後にする人が結構いた。ブーイングが若干あったが、不満ならさっさと帰るほうが野暮じゃないと思うんだけどね。
・出だしがひどすぎたこともあって、おそらく玄人筋からすると散々な演奏ということになるのだろう。確かに、オケも80分間ギリギリの集中力、という感じではなかった。(エッシェンバッハとフィラデルフィアの相性はどうなのか、フィラデルフィアにはオーケストラをドライヴしてブリリアントな音を出す指揮者のほうがいいのか、という疑問はある。)
・それでも後半(3楽章、終楽章)はなかなか良かったと思うのだが。曲自体が素晴らしいので聴かせられる
ということも否めないが。

演奏にケチをつけたとしても、やはりこの曲はマーラーの最高傑作だと思う。彼らしいエキセントリックなところが決してむき出しにならず、静かな悲しみや平安や・・・言葉では表現できない感情が心に響く。苦い音楽だけれども、未完の第10番のように辛くなることはない。そんな曲だけに、マーラーの交響曲の中では決して演奏機会の多い曲ではないが、何度でも生で聴きたい。演奏への不満より、音楽そのものを聴く満足感のほうが大きい曲だ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

02/22/2005

名匠の至芸「エロイカ」 ~2月21日

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団(サントリーホール)
バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番
(ヴァイオリン フランク・ペーター・ツィンマーマン)
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
(アンコール)ベートーヴェン 「エグモント」序曲

よく考えてみると、ブロムシュテットの音楽をはじめて聴いてから、もう四半世紀近くたっている。子供の頃、父親の転勤について横浜を離れていた頃、クラシック音楽に親しむといえば、「N響アワー」だった。小学生で、ドレスデンとの録音はまだ知らず、N響との初共演をテレビで見て感激した覚えがある。生ではじめて聴いたのはドレスデンとの「ドン・ファン」と「ロマンティック」。それからは何年おきかに生で聴いている。ブレンデルとのブラームスの協奏曲第1番とニルセンの交響曲第4番なんてすごいプログラムも聴いた。いつの間にかブロムシュテットは70台後半、私も立派に?30男になってしまった。しかし、ステージに現れたマエストロは、相変わらず背筋がぴんと伸び、若々しい。
オーケストラは、ヴァイオリン両翼配置。これはバルトークにはちょっと合っていなかったかもしれない。オーケストラはバラバラな感じでバルトーク独特のリズム感が出ない。新古典主義的、バロック的のかっちりした構成の中に、バルトークらしいリズムとテーマが浮かんでくるはずなのだが、どうも居心地がよくない。しかし、ツィンマーマンのヴァイオリンは素晴らしい。とくに第1楽章のカデンツァとフィナーレは圧巻。このコンサートは録音放送がないようなので、もう一度聴くことができなくて残念。
「エロイカ」は速めのテンポで、軽快といってもいい始まり方だった。コントラバスが6本、チェロが8本で、ヴァイオリンが14本だったことを考えても、もう少し重さが欲しい感じだった。右サイドだったので、チェロとコントラバスから離れていたからかも知れない。両翼配置って聴く場所を選ぶのかな。ゲヴァントハウスの音は、正直ずいぶんくすんだ感じ。木管の押しも弱く、これで弦を増やしたら埋没してしまったかも。その弦ももう少し豊かな響きがほしかった。
葬送行進曲も速め。しかし、曲が進むにつれ、軽快さは気にならなくなった。ことさら重厚さを強調してはいない演奏なのに、曲のスケールを充分に味わえる。これが名匠の至芸か。終楽章も素晴らしかったが、せっかく最後の主和音まで丁寧に鳴らしているのに、余韻を打ち破るフライング気味の拍手は残念だ。日本の聴衆には明らかに下品な人が増えている。
アンコールにピッコロ奏者が出てきて、予想通り「エグモント」序曲。劇的音楽の大傑作のノリのよい演奏に大満足。ゲヴァントハウスはもう第一級のオーケストラではないのかも知れないけれど、いいコンサートだった。ブルックナーの7番のチケットを買っておかないでちょっと後悔。得チケで出ないかしら。


| | Comments (3) | TrackBack (2)

01/31/2005

駆け回り飛び跳ねるピアノの音 ~1月30日

ハイドン ピアノ三重奏曲第39番 ト長調
シューマン ピアノ四重奏曲 変ホ長調
メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調
マルタ・アルゲリッチ(P)、堀米ゆず子(Vn)、リダ・チェン(Va)、山崎伸子(Vc)
(サントリーホール)

盛りだくさんの1日だった日曜日。
秩父宮のラグビーの後は、ちょっと腹ごしらえしてから、サントリーホールへ。
時間があるのでアークヒルズまで歩くことに。六本木の街はどうも居心地が悪いので、赤坂見附から赤坂の方をぐるっと。冷たい風の中を歩いて冷えた体を、ゆっくりとコーヒーを飲んで暖めてから、サントリーホールに入った。

マルタ・アルゲリッチは、不思議な雰囲気を持つ音楽家だ。いや、こんなことを言うのは大変失礼で、紛れもない天才であることは言うまでもない。ショパンのソナタ第3番(1967年録音)や前奏曲集(1975年録音)は、ずーっと私の愛聴盤で、端正というには遠い凄い演奏なのだが、繰り返して聴いても飽きることがない。ともかく、凄いオーラを持つピアニストなのだけれど、ステージに現れた姿は、カリスマ的というよりもむしろ、すっごいオカアチャン、という感じなのである。洒落た感じはなく、気兼ねのない格好。ピアノから出てくる音は天才の音楽だけど、弾いている姿は、集中力とか精神性というより、ひたすら楽しそう。気難しい人なのだろうけれど、何とも親しみを感じるのだ。こんなポートレートもあったが、イメージそのものだなあ。
今回は体調不良で来日が遅れて(幾つかの演奏会はキャンセルされた)、急遽追加で組まれた室内楽のリサイタル。たぶん、合わせての練習は何回もやっていないものと思われる。

拍手と音合わせの後、一瞬の緊張も許さずに弾き始められたハイドン。とくに終楽章のハンガリー風ロンド、走る走る、一気に弾き抜かれた。共演者はついていくのが大変だろう。
シューマンの四重奏曲には、アルゲリッチの娘さんがヴィオラで加わったが、ちょっとね。まあ場違いでした。
でも、アルゲリッチのピアノは、これが一番良かったと思う。幻想的な出だし、長調に短調が入り込む微妙な変調、シンコペーション、シューマンらしい影のある音楽でのアルゲリッチのピアノのハマリの良さ。そして情熱のほとばしる終楽章!。久し振りに「クライスレリアーナ」のCDを聴きたいなー。
この後のメンデルスゾーンももちろん良かったのだけど、アルゲリッチの音楽性が曲に収まりきらない感じ。「完璧な仕事」ではなくて、ほころびがあるのだけれど、そこから作曲家の感情があふれてくるといったシューマンの方がぴったりくる。
アンコールには珍しいベートーヴェンの四重奏曲(何番だっけ)の第1楽章と終楽章が弾かれた。
寒々しいラグビーの試合のことはすっかり忘れて帰路についた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

01/15/2005

ストラヴィンスキーを楽しむ ~1月14日

パオロ・カリニャーニ指揮紀尾井シンフォニエッタ東京(紀尾井ホール)
マスカーニ 歌劇「仮面」序曲
ストラヴィンスキー 組曲「プルチネルラ」(1949年版)
ペルゴレージ 「スターバト・マーテル」
(ソプラノ;エレーナ・パンクラトーヴァ、メゾソプラノ;サラ・アレグレッタ)

今年のコンサート聴き初め。

マスカーニは、初めて聴く曲。というか「カヴァレリア・ルスティカーナ」しか知らない。軽妙なリズムは、サッカーファンなら、イタリア国家の前奏を思い出すのでは。通俗的といってもいい甘美なメロディは、ヴェリズモ・オペラが、そのままイタリア映画につながっているように感じさせる。
「プルチネルラ」は、「春の祭典」とはまったく異質の音楽だけれど、ともにストラヴィンスキーの天才の面目躍如をみる傑作だ。イタリア・バロック期の音楽を材料に、まずは作曲家のお手並み拝見とばかりに耳新しいリズムと音色、様々な楽器用法で聴くものを楽しませるのだが、だんだんと、そして次々に「らしさ」が顔を出す。古典的なメロディの簡潔な美しさと、刺激感が逆に心地よいストラヴィンスキーの技法をどちらも楽しめる「仕掛け」。この曲は、演奏する方も楽しいと思う。今日はゲストメンバ-が多く加わっていた管楽器が大活躍で、充実の演奏を聴くことができた。
「プルチネルラ」にはペルゴレージの音楽が題材に取り上げられているのだから、「スターバト・マーテル」がメインというのは聴く前にはいい組み合わせだと思ったのだが、ちょっと違った。ストラヴィンスキーの天才的な遊びを楽しんだ後に「スターバト・マーテル」を聴くと、繊細というよりずいぶんとくすんだ感じというか、まあ演奏も冴えていなかったのだろう。独唱がもうひとつで、ソプラノには透明感がなく、メゾソプラノは座った位置が悪かったのかも知れないが(2階右サイド)声量が足りなくて、重唱では声が消えがちでバランスが悪かった。不調だったのかも。
それでも口直しが必要なほどひどい演奏ではなかったし、プルチネルラが楽しかったからまあいいか。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

11/17/2004

オーケストレーションの魔法 ~11月17日

リヒャルト・シュトラウス 「エレクトラ」
指揮:ウルフ・シルマー 演出:ハンス=ペーター・レーマン(新国立劇場)

わかってはいるけど、リヒャルト・シュトラウスのめくるめく、凄絶な音楽、やっぱり凄い。終幕に向かう高揚感は、まさに筆舌に尽くし難い。

・東フィルの演奏は、もうひとつ繊細さとか、木目細かさとかに欠けるような気がするが、オーケストレーションの素晴らしさで全体的には気にならない。
・演出はシンプルだが、血の「影」がうまく雰囲気を表現していた。クリテムネストラの登場時の不安な空気を、スピーカーを使用しての効果音で強調したのは、ちょっとどうかなと思った。
・最上階で聴いたせいか、歌手の声がオーケストラに埋没したところがあった。やはり難曲だなと実感。
・オレストのチェスター・パットンはなかなか朗々とした声、ちょっと一本調子だったか。
・クリテムネストラのカラン・アームストロングは、夫殺しの罪の潜在意識を見事に表現。

頭に一撃くらったみたいな感動。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

11/11/2004

バッハへのオマージュ ~11月10日

フランク・ペーター・ツィンマーマン ヴァイオリン・リサイタル(紀尾井ホール)
ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番「春」
ブゾーニ ヴァイオリンソナタ第2番
J・S・バッハ ヴァイオリンソナタ第4番
ブラームス ヴァイオリンソナタ第3番
(ピアノ エリンコ・パーチェ)

先月、レーピンのリサイタルをサントリーホールで聴いたが、やっぱり室内楽には紀尾井ホールくらいの広さのほうがよい。
おやっと思うほど軽快に弾き始められた、「スプリング・ソナタ」。親しみやすく、なにか恋愛中の幸福を表現するかのようなメロディのはずが、淡々と流れていく。今日は、ベートーヴェンのエピソードを聴かせるのではなく、バッハからブゾーニへの系譜を辿っていく作業なのだ、と受け止めた。
初めてナマで聴くブゾーニのソナタ。これは傑作だ。演奏も今日の白眉といえるものだった。幻想的な開始から、バッハのコラールを思わせるテーマが展開される最終楽章まで、厳粛な雰囲気の中にもほのかな色香を感じさせる。今日のプログラムなら、バッハの後、最後にこの曲を持っていったほうがよかったかもしれない。ブゾーニがいかにバッハを尊敬し、親近感を抱いていたかがよくわかる。そういえば、彼はバッハのコラールの多くについて、ピアノ用に素晴らしい編曲を残しているのだ。
後半のバッハとブラームスの端正な音色と音楽作り。さすがにツィンマーマンが少年時代から弾き込んでいただろう曲だ。ブゾーニを聴いたときの緊張感の後だったため、聴く方がリラックスしてしまった感じだったが、充分楽しかった。
びっくりしたのは、アンコールに、ヴェーベルンの「ヴァイオリンとピアノのための4つの小品作品7」がとりあげられたこと。ヴェーベルンの「極小形式」の傑作であり、ずいぶん挑戦的な選曲ではある。アンコールというより、プログラムにもう1曲組み込まれた感じだった。
最後にバッハのソナタ第5番のアダージョが弾かれた。これがほんとのアンコール。

ツィンマーマンは、14日にはブリテンの協奏曲を弾く予定。NHKホールというのがマイナスだが、高齢による体調不良をおしてのサヴァリッシュとの共演、聴きたくなってきた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

concert | football | トホホな日々 | 備忘録