ブラームスの傑作2曲 ~1月28日
ブラームス ヴァイオリン協奏曲
ブラームス 交響曲第1番
ヴァイオリン;クリスティアン・テツラフ
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団 (NHKホール)
好きな作曲家はと聞かれればブラームス、というわけで今年のコンサート聴き初めはブラームスの傑作2曲のプログラム。
ヴァイオリン協奏曲はなかなか面白かった。テツラフの弾き方だと思うが全体的に速めのテンポ。第1楽章のソロの入りはおとなしめだったが、途中から俄然走り出した。テンポを結構揺らすし音程が不安定なところもあった。正直ちょっと居心地の良くない感じ。第2楽章はたおやかというより、薄味であまり耳に残らない。というのはたぶん第3楽章があまりにも痛快な演奏だったからか。スピード感があって、羽目を外さないギリギリに遊んでハンガリー舞曲風のフィナーレを一気に弾き切った。
この曲はオイストラフとセルによる豊穣かつ一点の曇りもない録音が最も好きでよく聴いているが、今日のこの演奏も地味な音色の中からパッションが吹きだすようで面白かった。
ブロムシュテットを初めて聴いたのが何時だかははっきりは覚えていないが、それから20年以上経っていることは間違いない。その頃は東京から離れていたので、放送を通じてだったが、はっきり覚えているのはチャイコフスキーの4番。猛烈に第4楽章が速かった。あの演奏で聴いて以来、チャイコフスキーの4番はずっと大好きな交響曲の一曲だ。これは調べてみたら83年だった。初めてのライヴは85年のドレスデンの来日公演。あの独特のサウンドで鳴らされた「ドンファン」と「ロマンティック」。体が浮くような不思議な感覚だった。そのブロムシュテット氏は今年で79歳。自分も歳を取るわけだ。
オケの配置はヴァイオリン両翼配置。ブロムシュテットの通常の型ということを忘れていた。中央の席で聴くべきだったと後悔。
そんなにライヴで聴くわけではないけれど(それでも2~3年に一度は聴いているような気がする、この前は2004年のハイティンク・ドレスデン)、放送などで聴くとついついパワー全開、って感じで鳴らされ過ぎる演奏も間々ある第1番。今日は、オケを鳴らし過ぎていないのに(もちろんクライマックスは迫力!)、ブラームスを聴く満足を充分感じられる、聴き応えある演奏だった。
テンポは一貫してゆっくりめ。第1楽章は、これもブロムシュテットのいつも通りに主題部を反復。曲の流れからは反復無しの方が好きだが、こうして実際に聴くと、朗々たる展開部の入りがお預け食って待ちわびたところに来る感じで効果的でもある。第2楽章のべとつかず清らかな美しさ。ペーター・ミリング氏のヴァイオリン・ソロもさすが(ドレスデンのコンマスだった人で、ブロムシュテットの名録音「英雄の生涯」ではソロをやっていたはず)。残念だったのはオーボエのソロ。全然歌えず寸詰まり気味。これは第4楽章でもそうだった。長年首席を務める北島氏だが、失礼ながら力不足にしか聴こえない(隣のフルート首席の神田氏が木製フルートらしい柔らかながら朗々とした音色を鳴らしているだけに余計に貧弱に感じてしまう)。
そして悠然と決して追い立てることなく演奏された第4楽章。ホルンのテーマと、主部のテーマ、ここを聴く度になんとも言えず安らかな幸福を感じる。さっきも言ったようにパワー全開ではないが、丹念に弾かれていた音楽がいつの間にか内からグワっと盛り上がっていた。はっきり言って退屈な演奏も多いN響だが、今日はブロムシュテット氏の下、力も入ってなかなかいい演奏だったと思う。
今回の来日での残り2つのプログラムは所用で聴くことができないのが残念。80歳近い高齢とは思えぬ指揮ぶりのブロムシュテット氏だが、また遠からずにドイツものや十八番のニルセンの名演を聴かせていただきたい。


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